五十肩の正式名称は「肩関節周囲炎」です。
肩関節周囲炎とは?
肩関節周囲炎とは、肩関節を取り巻く筋肉や腱、滑液包などの組織が炎症を起こす病気です。肩関節周囲炎は、日本人の約3人に1人が一生のうちに経験すると言われるほど、よく見られる疾患です。肩関節周囲炎は、男女や年齢に関係なく発症することがありますが、特に40歳以上の女性に多いです。
肩関節周囲炎の原因は?
肩関節周囲炎の原因はさまざまですが、肩の使い過ぎや姿勢の悪さ、加齢やストレスなどが挙げられます。肩の使い過ぎは、スポーツや仕事、家事などで肩に負担をかけることで起こります。姿勢の悪さは、デスクワークやスマホの長時間使用などで肩が前に傾くことで起こります。加齢やストレスは、肩関節周囲の組織の老化や血流の低下、筋肉の緊張などを引き起こします。これらの原因によって、肩関節周囲の組織が傷ついたり炎症を起こしたりして、肩関節周囲炎になります。
肩関節周囲炎の症状は?
肩関節周囲炎の症状は、肩の痛みやこわばり、動かしにくさなどです。特に夜間に痛みが強くなることが多いです。また、腕を上げたり後ろに回したりするときに痛みが増すこともあります。肩関節周囲炎は、進行すると4つの段階に分けられます。第1期は、腱板(肩関節を安定させる腱)に微小な断裂が生じる段階です。第2期は、腱板に部分的な断裂が生じる段階です。第3期は、腱板に完全な断裂が生じる段階です。第4期は、腱板の断裂によって上腕骨頭(肩関節の一部)が上方に移動する段階です。これらの段階によって、症状の程度や治療法が異なります。
肩関節周囲炎の診断方法は?
肩関節周囲炎の診断は、問診や触診、レントゲンや超音波検査などで行われます。問診では、肩の痛みや動きの制限などの自覚症状や発症時期や原因などを聞かれます。触診では、医師が手で肩を触って圧痛や腫れなどを確認します。レントゲンでは、骨や関節の形や位置などを写真で見ることができます。超音波検査では、腱板や滑液包などの柔らかい組織の損傷や炎症などを画像で見ることができます。これらの検査によって、肩関節周囲炎かどうかやその段階や重症度などを判断します。
肩関節周囲炎の治療方法は?
肩関節周囲炎の治療は、安静にすることや湿布や薬を使うこと、理学療法や注射などがあります。重症の場合は手術が必要になることもあります。安静にすることは、肩に負担をかけないようにすることです。湿布や薬は、痛みや炎症を和らげる効果があります。理学療法は、肩の可動域や筋力を回復させるために行われます。注射は、滑液包や関節内にステロイドやヒアルロン酸などを注入して、痛みや炎症を抑える効果があります。手術は、腱板の断裂や上腕骨頭の移動などがある場合に行われます。手術では、腱板の修復や上腕骨頭の固定などを行います。
肩関節周囲炎の予防方法は?
肩関節周囲炎の予防には、肩のストレッチや筋力トレーニング、姿勢の改善などが効果的です。肩のストレッチは、肩関節周囲の組織の柔軟性を高めることで、肩の動きをスムーズにします。筋力トレーニングは、肩関節周囲の筋肉を強化することで、肩の安定性を高めます。姿勢の改善は、肩にかかる負担を減らすことで、肩の健康を保ちます。これらの予防法は、毎日少しずつ行うことが大切です。肩関節周囲炎は早期に治療すれば良くなる可能性が高いですが、放置すると慢性化したり合併症を起こしたりする危険性があります。肩の不調を感じたら、早めに医師に相談しましょう。